研究概要 |
1)GFPの発光により、分化レベルを推定する系の開発 CCSPのpromoter制御下にGFP(Green fluorescence protein)を発現するplasmidを導入したstable transformantを11クローン得た。この株を用い、Clara細胞分化に影響する因子を、迅速にスクリーニング可能となった。 2)内分泌撹乱作用の分化調節因子への影響を検出 エストラジオールが、肺上皮細胞の分化段階において、転写調節因子に与える影響を検出したところ、estradiolがHNF3αの発現を促進していることが示された。またいくつかの内分泌攪乱化学物質の細胞への長期的暴露の影響を調べたところ、内分泌攪乱化学物質(Bis-phenol A,DES,DBP)に関しては分化レベルを促進してはいるが、分化の方向性に関してはそれぞれが別々の方向性を示し、分化の方向を曖昧にしている傾向が示された。またnonyl-phenol暴露に関しては、CCSPの発現に顕著に影響する結果がいくつかの濃度で得られたが、安定性が低いためこれらの結果の再現性を取る必要がある。 3)内分泌攪乱化学物質影響下にあるホメオボックス因子の検索 発生段階に関与していると考えられる調節因子群である、ホメオボックス遺伝子に特異的なarbitrary primerを用いた3'-RACEの変法を用いたところ、estradiolに反応して発現が増加するホメオボックス因子HoxA5が得られた。realtime RT-PCR法を用いて発現量を調べた結果、Bis-phenol A,DES,dibutyl phthalateの暴露が、濃度依存的にHoxA5の発現量を抑える傾向が示された。 以上のことから、引き続き内分泌攪乱作用の作用点(作用する因子)を検討し、その細胞分化に影響するメカニズムの解明に努めたいと考えている。
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