平成13年度の研究成果 1.ポリアスパラギン酸分解酵素の精製とキャラクタリゼーション (1)ポリアスパラギン酸分解酵素の精製 Sphingomonas sp.KT-1株の細胞破砕液から、陽イオン交換カラムおよびヒドロキシアハタイトカラムを用いることによりポリアスパラギン酸分解酵素の精製に世界で初めて成功した。 (2)ポリアスパラギン酸分解酵素のキャラクタリゼーション 本分解酵素は、分子量が約30000のタンパク質であった。本酵素のN末端アミノ酸配列は他のどのタンパク質とも相同性を有しておらず、本酵素が新規性の高いタンハク質であることが分かった。また、本酵素の種々の性質を調べたところ、等電点plは8.9、至適pHは10.0であり、至適温度は40℃であることが分かった。さらに、本酵素活性に対するプロテアーゼ阻害剤の効果を調べたところ、本酵素はセリンプロテアーゼ阻害剤であるDFPおよびPMSFにより著しく阻害されることが分かった。このことから、本酵素の活性中心にはセリンが含まれることが示唆された。 2.ポリアスパラギン酸の酵素分解反応 ポリアスパラギン酸の分解機構を鯛べるため、精製した酵素を用い分解反応を行った。ゲルろ過法を用いてポリアスパラギン酸の分子量変化を鯛べたところ、本酵素はポリアスパラギン酸をオリゴマーにまで分解することが分かった。さらにポリアスハラギン酸の分解部位をNMR法を用いて調べたところ、本酵素はポリアスハラギン酸に含まれる連続するβ-アスハラギン酸ユニット間のアミド結合を特異的に切断していることが明らかとなった。
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