平成14年度の研究成果 1.ポリアスパラギン酸分解酵素遺伝子のクローニングとキャラクタリゼーション ポリアスパラギン酸分解酵素のクローニングをLA PCR in vitro cloningにより行った。その結果、本分解酵素遺伝子のクローニングに世界で初めて成功した。遺伝子解析の結果、本酵素遺伝子は942bpから構成されていた。さらにコードされるポリペプチドは314アミノ酸残基からなり、N末端の35アミノ酸残基がシグナルペプチドであることが分かった。また、本酵素では、176位のセリン残基が活性中心であるリパーゼボックスを構成していることが明らかとなった。また、FASTAを用いた相同性検索の結果、本酵素はAlcaligenes faecalis AE122およびPseudomonas lemoignei由来のポリ(3-ヒドロキシブタン酸)分解酵素と類似していることが分かった。 2.オリゴアスパラギン酸分解酵素の精製とキャラクタリゼーション (1)オリゴアスパラギン酸分解酵素の精製 Sphingomonas sp.KT-1株の細胞破砕液から、陽イオン交換カラムおよびヒドロキシアパタイトカラムを用いることによりオリゴアスパラギン酸分解酵素の精製に成功した。 (2)オリゴアスパラギン酸分解酵素のキャラクタリゼーション 本分解酵素は、分子量が約42000のタンパク質であった。BLASTを用いた相同性検索の結果、本酵素のN末端アミノ酸配列はCaulobacter crescentus CB15由来のM20/M25/M40ファミリーに属する金属ペプチダーゼと高い相同性を有していることが分かった。また、本酵素の種々の性質を調べたところ、等電点plは9.6、至適pHは7.0であり、至適温度は55℃であることが分かった。さらに、本酵素は金属ペプチダーゼ阻害剤であるEDTAにより著しく阻害されることが分かった。
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