カイコガ脳よりのPDFの単離・精製 業者より購入のカイコガ(600匹)を顕微鏡下に解剖し、脳を摘出し液体窒素で凍結後、凍結乾燥した。それらに50%酢酸水溶液を加え、ホモジナイズしてペプチドを含む溶液を抽出した。抽出液を遠心、ろ過し、沈殿物を除いたものを、固相抽出カラム(C18)で予備精製した後、吸着した画分を逆相HPLC(C18)で精製した。逆相HPLCは、これまでに行ったコオロギPDFの合成研究の結果を基に、オクタドデシルシリル(C18)カラムを用い溶媒系は0.1%TFA/水-アセトニトリルのリニアグラジェント、検出はUV215nmで行った。各フラクションに分画後、PDF画分をPDF抗体で追跡した。各フラクションはペプチド結合性ポリソープ処理された96穴プレートに分注し、それらのPDFの含量はELISA法により、プレート上のPDF(ペプチド・抗原)に結合したPDF抗体(1次抗体)を認識する2次抗体に結合しているペルオキシダーゼの酵素活性によるオルトフェニレンジアミンの発色量により定量した。使用したPDF抗体は当研究室にて調製した。ELISA法の確立のため、合成ペプチドを作製し検量に用いた。現在、固相抽出物のELISA法による同定が完了し、最初のロットについて精製第3段階を検討中である。 また、出発原料のカイコガ脳の一部(10個)からtotalRNAを抽出し、oligo-dTカラムでmRNA(ポリA+RNA)を精製、これを基にカイコガ脳cDNAライブラリーを作製した。それに対し、他の生物で既知のPDHの塩基配列を基にPCR法で使用する鋳型プライマーを作製し、目的cDNAの増幅を行なった。その結果、増幅したDNA断片が幾つか確認されたので、現在それらの配列解析をDNAシーケンサーで実施している
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