研究概要 |
1.ブラジル(サンパウロおよびベレン)において収集された薬用植物16種およびペルー(リマおよびクスコ)において収集された薬用植物29種について70%エタノール抽出物を調製し,ヒト前骨髄性白血病細胞(HL-60)に対する細胞毒性試験を行なった。その結果,ブラジル産薬用植物からはクスノキ科Perseaamericana(現地名:ABACATEIRO)およびイラクサ科Boehmeria caudate(現地名:ASSA PEIXI)の2種,また,ペルー産薬用植物からはベニノキ科Bixaorellana(現地名:ACHIOTE),トウダイグサ科Phyllanthus sp.(現地名:CHANCA PIEDRA),マメ科Psoraleaglandulosa(現地名:CULEN),キク科Chuquiragaspinoza(現地名:HUMAN PINTA)およびキツネノマゴ科Trichanthera gigantea(現地名:PALO SANTO),キク科Laccopetalum sp.(現地名:HUMANRIPA)の6種,計8種の各エキスがいずれも50μg/mlの濃度で顕著な細胞毒性を示すという興味ある結果を得た。活性本体の構造やその作用メカニズムについても明らかにしたい。 2.クスノキ科のブラジル産薬用植物であるAniba gardneri(現地名:CANERA SASSAFRAZ)について成分研究を行なった結果,合計25種(新規化合物3種を含む)にのぼるネオリグナンを単離・構造決定し,Aniba gardneriの主成分の一つがフェニルプロパノイド(ネオリグナン)であることを明らかにした。得られた化合物の生物活性や構造と活性の相関についても検討を行なう予定である。 3.キク科のブラジル産薬用植物Mikania hirsutissima(現地名:CIPO-CABELUDO)から簡便かつ大量に得られる炭素数20のditerpene((-)-ent-kaurenoic acid)を用いて,同植物より既に単離・構造決定された新奇なbisnorditerpenelactone(炭素数18)の化学合成に成功し,その絶対構造を明らかにすることができた。
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