研究概要 |
本研究はヒトIL-2の糖結合能がヒト免疫系において果たす役割を解明することを目的とする。まず、ヒトJurkat細胞に対するIL-2の刺激が高マンノース型糖鎖によって受ける影響を調べた。その結果、IL-2とマンノース残基5個あるいは6個持つ高マンノース型糖鎖10μMをプレインキュベーション後にJurkat細胞を処理すると、IL-2受容体βサブユニットのリン酸化が阻害されることが判明した。既にマウスCTLL-2細胞を用いて報告しているIL-2の高マンノース型糖鎖認識の現象(J.Biol.Chem.,276,7351-7356)がヒトT細胞系Jurkat細胞においても確認された。さらにJurkat細胞表面に存在するIL-2受容体αサブユニットの糖鎖構造について、免疫沈降法により精製した後にSDS-PAGE、ニトロセルロース膜転写して高マンノース型糖鎖に特異的なGalanthus nivalis agglutinin (GNA)でレクチン染色した。その結果、GNA陽性であったことから、Jurkat細胞のIL-2受容体αサブユニットもマウスCTLL-2細胞IL-2受容体αサブユニットと同様に高マンノース型糖鎖を持つことが判明した。したがって、マウスCTLL-2細胞をモデルとして明らかにしたIL-2糖鎖認識の重要性がヒト免疫系においても明らかになった。
|