研究概要 |
細胞分裂の際、その分裂面の位置を正しく決定するということは、量も重要なプロセスの一つである。最近、原核生物においてMinC, MinD, MinEなどの一連のタンパク質群が、互いに協調して細胞分裂面を決定していることが明らかになりつつある。本研究は、これらのタンパク質の複合体の立体構造を決定し、その相互作用機構の解明によって、分裂面位置決定の分子機構を明らかすることを目的とする。 まず、高度好熱菌Thermus therm ophilus HB8由来のMinC, MinD, MinEの大腸菌における大量発現系の構築を行った。MinEに関しては成功しなかったが、MinC, MinDについては組み換え体を得ることができた。しかしながら、得られたMinC, MinDはそれぞれ会合体を形成しており、単独での結晶化は困難であった。そこで、MinCとMinDの複合体を作成することにより、会合を抑えることを試みた。別々に発現させ、精製した両者を混合し、複合体として精製する方法を探索した。しかし、現在のところ安定な複合体は得られていない。MinCとMinDが結合することは確認できたが、安定な複合体の状態でカラム精製することは困難であり、また、両者を混合したサンプルをNative-PAGEにかけたところ、会合体のバンドが認められなかったことから、親和性はあまり高くないと考えられる。複合体を安定化させるため、架橋試薬を用いて分子間を架橋することも試みたが、成功しなかった。Foldingに問題がある可能性も考え、MinC, MinD共発現プラスミドの構築や、無細胞系での共発現を試みているところである。
|