研究概要 |
生体中のNOは一酸化窒素合成酵素(NOS)により、L-アルギニンと酸素分子より合成されることが近年明らかにされ、さらにこの結晶構造も報告された。NOSにより合成されたNOは、その標的蛋白質であるグアニル酸シクラーゼ(sGC)に結合することにより、sGCを活性化する。活性型sGCはGTPよりcGMPを合成し、このcGMPがセカンドメッセンジャーとして、上記の生理作用を引き起こすと考えられている。sGCタンパク質は分子量150kDa,α,βのサブユニットからなるヘテロダイマーであり、牛の肺から精製を行っている。しかし、結晶化に使用するタンパク質の純度は、極めて高い純度と量が必要とする。現在の精製法には、牛の肺10Kgから、純品なsGCの量は数mgしかとれないとこが、結晶化の最大の支障である。sGCタンパク質は、生体内の情報伝達物質であり、生体内には、多量には必要としない。このことから、大量のタンパク質をとるためには、精製の方法の改良が不可欠である。そして、結晶化に関しては、沈澱劑として、硫安溶液、PEG溶液、リン酸溶液など、を用いて結晶化の条件を検討している。すでに、沈澱劑の濃度、pH、などを変化させながら、数百条件で結晶化を試みたが、現在のところ、単結晶を得る条件は、見つかっていない。来年度にも、精製方法の改良と、結晶化に集中的に本申請研究を行う。
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