研究概要 |
本年度は,ミオシンVとシンタキシン1Aとの結合についての解析を計画した。 以下に実施した実験とその結果を示した。 1.シンタキシンとの結合がATPase活性におよぼす影響を調べた。 10^<-8>から10^<05>Mの範囲のCa^<2+>の存在下でシンタキシン1Aを加え,ATPase活性の変化を測定した。その結果,シンタキシンはATPase活性には影響しないことがわかった。 下の2に関連し,平滑筋ミオシン制御軽鎖(RLC)で交換したミオシンVのATPase活性を測定したところ,未交換のミオシンVとは異り,高濃度のCa^<2+>存在下でもATPase活性が低く抑えられることがわかった。現在,この交換体の信頼性と,交換体に対するシンタキシン1Aの影響をATPase活性およびモーター活性について検討している。 2.シンタキシンがミオシンVに結合する条件下(1uM以上のCa^<2+>とヌクレオチド)では,ミオシンVのカルモジュリン(CaM)軽鎖が解離する。ミオシンVからCaMの解離することとシンタキシン1AがミオシンV結合することとの関係を調べるための実験系の構築に着手した。ミオシンV溶液に平滑筋ミオシン制御軽鎖(RLC)または必須軽鎖(ELC)とCa^<2+>を加えると,CaMが解離し,RLCが結合することがわかった。ELCは結合するが効率が低かった。 Ca^<2+>の存在下でRLCがCaMの代わりにミオシンVに結合しているので,シンタキシン1Aとの結合にCa^<2+>の役割を解析できる。現在,実験系の確立のため,最適なCa^<2+>濃度を詳細に検討している。 3.シンタキシン1AとミオシンVとの結合部位を決定するための下準備として,原子間力顕微鏡(AFM)を用いたマッピングを開始し,条件を検討している。
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