【研究目的】 ビブリオ菌のNa^+駆動型べん毛の回転は、膜蛋白質であるPomA/PomB複合体、MotXならびにMotYによって行われる。Na^+チャネルでもあるPomA/PomB複合体が行う構造変化が、べん毛モーターを回転させると考えられる。本研究はPomA/PomB複合体、MotXならびにMotYの生化学的解析を目指している。平成14年度は、PomA/PomB複合体のNa^+透過活性の検討とMotYの精製の検討を行った。 【研究成果】 1.精製PomA/PomB複合体のNa^+透過活性:平成13年度の研究において精製したPomA/PomB複合体を再構成したプロテオリポソームを用いて、拡散電位に依存した^<22>Na^+取り込みの検出を試みたが、有意な結果を得ることはできなかった。 2.PomA/PomB複合体を大量発現した膜標品のNa^+透過:三種類全てのNa^+/H^+アンチポーターを欠失した大腸菌に野生型PomA/PomB複合体、ならびにNa^+透過活性の上昇が期待されたPomA/PomB複合体を大量発現した膜画分を用いて、拡散電位に依存した^<22>Na^+の取り込みを試みたが、有意な結果を得ることはできなかった。 3.水溶性MotYの精製:MotYはMotX非存在下にはペリプラズムに可溶性蛋白質として局在する。この水溶性MotYを大量に調製するため、大量発現系の構築を行った。ペリプラズム画分より、ヒスチジンタグを付加した水溶性MotYを金属アフィニティーカラムにより、ほぼ純粋な状態まで精製することができた。1Lの培養から約1mgの精製標品を得ることができた。構造解析に向けて一歩踏み出すことができた。
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