| 研究概要 |
ER-Golgi間の小胞輸送において、可溶性の積み荷タンパク質が輸送小胞内に積極的に取り込まれる機構についてはこれまでのところ全く未知である。申請者は、可溶性の積み荷タンパク質を特異的に認識するようなレセプタが存在すると予測しており、本研究は「可溶性積み荷タンパク質レセプタ」を同定することを目的とした。出芽酵母のゲノムサーチにょり、ER-Golgi膜に局在し、ER内腔に向けてレクチン様のドメインを持つと予測されるタンパク質が2つ(EMP46,EMP47)存在することが解った。輸送される多くの積み荷タンパク質は糖鎖修飾されることから、これらのタンパク質が可溶性積み荷タンパク質のレセプタとして機能している可能性が高いと考えた。Emp46pあるいはEmp47pの単独欠失株、およびEmp46pとEmp47pの2重欠失株の増殖能は野生株とほぼ同等であった。しかし、Emp47pを欠損させた酵母株は温度感受性となり、またCa2+を含む培地で生育が阻害されることがわかった。これらの感受性は、Emp46pの過剰発現によって相補されることから、Emp47pとEmp46pの機能は互いにオーバーラップしていると考えられる。Emp46/47pの細胞内局在を解析したところ、これらのタンパク質は定常状態で主にGolgi体に局在し、ER-Golgi間をリサイクルしていることがわかった。さらに、この細胞内局在にはC末端側の細胞質ドメイン中のtyrosineを含むモチーフとdi-lysineモチーフが必須であることを明らかにした。Emp46/47pを欠損させた株では野生株と比べて、いくつかの糖タンパク質の輸送が遅れていることが明らかとなった。これらの結果から、Emp46/47pは酵母のER-Golgi間の小胞輸送において糖タンパク質のレセプタとして機能している可能性が極めて高いという証拠を得ることができた。
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