「アクチンの協同性の起源」を構造学の観点から明らかにすることを目的として研究を進めた。 平成13年度は、アクチンフィラメント単独及びその結合タンパク質であるミオシン、トロポニン、トロポミオシンの結合したアクチンフィラメントに関して、クライオ電子顕微鏡法を用いた高分解能像(8オングストローム以上)を解くことを目標とした。その結果、アクチンフィラメントに関して10オングストローム、アクチンミオシン硬直複合体に関して15オングストロームを実現した。その結果、アクチンフィラメントの高分解能原子モデルの構築が可能となり始めている。また、この分解能に至り、それでも密度が低い領域が存在しており、アクチンフィラメント内の構造揺らぎの大きい領域が示され始めている。 これまで、10オングストロームを超える分解能を実現するには、一万分子を超える必要があると考えれてきたが、現在五千程度の分子数の平均で実現している。これは、我々が開発してきた、ホログラフイック・クライオ・電子分光電子顕微鏡法が、電子顕微鏡法での構造解析に有効であることを示している。今後、更に、分子数を増やし、電子顕微鏡法を改良することにより、更に高分解能が実現できると考えられる。 更に、アクチン・トロポニン・トロポミオシン複合体の構造を世界に先駆けて明らかにした。電子顕微鏡法によ購造情報と、蛍光エネノレギー移動法による構造解析法を、これまで開発してきた確率的距離幾何学法により組み合わせる事により、筋収縮のカルシウム制御に関する新しいモデルを提唱することが出来た。 また、古細菌シャペロニンCCTは、そのファミリーが真核生物でのアクチンの3次元構造構築に関与している。そこで、電子顕微鏡・分散解析画像処理を適用し、結合ヌクレオドの違いによる構造変化を検出しした。アクチンの構造形成に関わる分子シャペロンの役割を理解する上で重要である。
|