研究概要 |
Racillus circulans WL-12由来キチナーゼAl(以下、キチナーゼAlと称する)はアミノ酸残基数669、分子量73,677のマルチドメイン蛋白質であり、その構成は、N末端から触媒活性ドメイン、2つのフィブロネクチンタイプIII様ドメイン、そしてキチン吸着ドメインの4つのドメインとなっている。この中で、キチナーゼAlの約3分の2を占めている触媒活性ドメインはアミノ酸残基数419、分子量435,489であり、この触媒活性ドメインのみの部分構造でも十分なキチン分解能を持っていることが確認されている。 本研究は、キチナーゼA1の触媒活性ドメインのみにしたフラグメント酵素CatD(野生型)とその部位特異的変異体であるCatD(E204Q)の超高分解能X線結晶構造解析により、キチナーゼA1の触媒活性残基が分解反応にどのように関与しているのかを明らかにすることを目的とした。catD(野生型)及びcatD(E204Q)それぞれの単独結晶及び種々のリガンド(基質あるいは阻害剤)との複合体結晶の原子分解能のX線回折強度データは、放射光施設(高エネルギー加速器研究機構及び高輝度光科学研究センター)で収集した。 CatD(野生型)の分子構造の精密化はプログラムREFMAC5を用いて行った。分解能範囲45.0(8160)161.10Aで精密化を行い、ある程度精密化が進んだ時点で各原子の熱振動を等方性温度因子から異方性温度因子に移行した。このCatD(野生型)の分子構造の精密化によって、アミノ酸残基の乱れや触媒活性ドメインのヘテロ分子の結合の様子を確認するこが出来た。
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