研究概要 |
パッチクランプ法によってイオントランスポーターの解析を行うために、宿主大腸菌の巨大化条件を決定した。さまざまな条件検討を重ねた結果、パッチクランプ法を適用するために十分な大きさ(直径10μm以上)にまで巨大化させることができた。目的のアミノ酸トランスポーターSstTを発現させた株も巨大化することに成功した。しかしIPTGによって発現を誘導してもSstTタンパク質があまり誘導されず、逆に誘導していない状態でも無視できないレベルで発現していた。これはSstTの発現調節が厳密にコントロールできていないことを意味し、現在用いているtrcプロモーターは上記培養条件においては不向きであることが示唆された。そこでアラビノースプロモーターを利用できるように系を再構築している。また一方では大量発現したSstTの精製方法を確立し、幾つかの性質について調べた(Kim, submitted)。 Na+/薬剤排出タンパク質NorMについてはSstTの結果を元に今後行う予定にしている。その一方で、新たに2つのNa^+駆動性の多剤排出ポンプの遺伝子をクローニングし、その性質にいて調べた(Huda,2001,Chen,2002)。このう'ち一つは上記NorMと相同性が高い。これらについても同様にパッチクランプ法に適用できるよう、系を構築している。 当初の研究計画では、パッチクランプ法による解析を東京大学にて14年度に行うと記述していた。しかし東京大学分子細胞生物学研究所より、パッチクランプシステム一式を譲り受けることができた。そこで現在、岡山大学で使用できるようにセットアップを行っている。進行状況から考えて13年度末あるいは14年度の早い段階で、使用可能となると予想される。このセットアップにかなりの時間が費やされているが、セットアップが完了すれば、14年度の計画を実行する予定である。
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