本研究では、構造ゲノムプロジェクトの進展を念頭において、タンパク質の立体構造情報からその機能を予測する「第一原理的機能予測法」の開発を目指している。そこでは、従来行われていたような進化的類縁関係(配列の類似性)からの機能の類推ではなく、タンパク質の立体構造・機能相関というタンパク質の機能を直接決めているメカニズムを解明し利用することを目指す。このために(1)構造および機能がわかっているタンパク質のなかで数多くの立体構造が明らかにされているものヌクレオチド結合タンパク質に置いて、立体構造と機能情報で整理されたデータベースを構築し、(2)このデータベースから構造機能相関の経験的ルールを導き出し、構造からの機能予測法を開発を行う。 13年度においては、モノヌクレオチド結合タンパク質立体構造データペースを構築するために、Protein Data Bank(PDB)の中からモノヌクレオチド結合タンパク質をすべて同定した(約2000個)。これらすべてに対して、タンパク質との相互作用様式(結合部位の原子の空間配置)に基づいて比較分類を行い、1137個の代表構造を特定することができた。また、これらの代表構造のファミリー分類を行い、103スーパーファミリー内に属することがわかった。 14年度にはこれらのスーパーファイリー毎に機能情報を付加し、機能の類似性と構造の類似性の相関関係をしらべ、構造機能相関の経験的ルールの発見を目指す。また、このルールに基づいた機能予測法の開発を同時に進めていく。
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