研究課題
本研究では、bHLH型転写因子Okadin/Math6の機能解析を通してマウス雄性生殖細胞の分化制御機構に迫る。我々は、酵母two-hybrid法をもちいて、成体マウス精巣cDNAライブラリーから新規bHLH型転写因子Okadin(その後他グループによりMath6として報告された)を単離した。Okadinの発現は、胎生7.5-8.5日胚の内胚葉(特に前腸)と、成体においては精巣および卵巣に特に強く認められた。Okadinの雄性生殖細胞における発現の詳細な解析Northern blotting, cDNA cloning, data base検索により、Okadinが少なくとも4種類の異なった転写産物を生じていることが明らかにした。in situ hybridizationにより、雄性生殖系列においては、機能的タンパク質をコードするmRNAは、出生直後の精原細胞や胎生期の精原母細胞に主に発現していること、一方、減数分裂期に発現するmRNAは、明らかな機能的タンパク質をコードしていない事が強く示唆された。そのため、Okadin/Math6の精子形成細胞のおける主な作用点は胎児期から出生直後の幼若な精子形成細胞であることが考えられる。一方我々は、他のbHLH型転写因子1P19が未分化な精原細胞で発現、機能していることを示すデータを得ており、複数のbHLH因子がお互いに関連して精子形成の初期に機能している可能性を検討中である。Okadinの転写制御因子としての機能解析一過的遺伝子導入実験(luciferase assay)により、bHLH因子の共通の標的配列e-boxに対して単独での転写活性化能は認められなかったが、他のbHLH因子であるMyoDによる転写活性化を抑制する能力を持っていた。
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