停止、衝突したDNA複製フォークのプロセッシング機構の分裂酵母を用いた解析 1.組換えマーカーの導入。 (1)第三染色体ura4+遺伝子座の両側に異なる点変異を持つade6変異遺伝子を導入した (ade6B::ura4+::ade6X)。このとき、2つのade6遺伝子が同方向に並ぶものと、逆方向に並ぶものを作成。これにより、同方向反復配列間と逆方向反復配列間のDNA組換えが解析可能。 (2)異なる染色体上(第三、二染色体)に異なる点変異を持つura4変異遺伝子を導入し、異なる染色体間のDNA組換えを解析可能とした。 2.逆方向反復配列間での組換え欠損株の単離。 ade6B::ura4+::ade6X逆方向反復配列での組換え頻度が変化する突然変異株を単離した。原因遺伝子の同定により、ユビキチン様低分子量蛋白SUMOの修飾に特異的に関わるプロテアーゼUlp1の変異により組換え頻度が上昇する事、また、ヌクレオチド還元酵素のサブユニツトSuc22の変異により組換え頻度の低下する事が分かった。 3.DNA複製フォーク構成因子MCMとCdc45の組換え、修復に於ける役割。 MCM5の変異株nda4-108とCdc45の変異株snd41-1で、同方向反復配列間と異なる染色体間のDNA組換えの低下が見られた。また、これらの変異株はDNA複製フォークの進行を阻害する薬剤HUと紫外線に対し感受性である事が分かった。DNA修復に働くRqh1ヘリケースとの関連を二重変異株を用いて調べた結果、nda4、snd47変異は共にrqh1変異株のHU感受性を僅かながら抑制する、一方、nda4、snd41変異は共にrqh1変異株の紫外線感受性を増大しない事が分かった。つまり、これらのDNA複製フォーク構成因子はRqh1と協調的に停止、衝突したDNA複製フォークのプロセツシングに関わる可能性が見出された。
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