研究概要 |
ENTHドメインを持つ新規タンパク(KIAA0171)をデータベース検索により見いだした.このタンパクはその相同性から,従来知られているepsin1〜3のサブファミリーに属する新規ENTHタンパクであると考えられた. KIAA0171のENTHドメインのGST融合タンパクを作製し,イノシトールリン脂質に対する結合能を検討したLiposome共沈アッセイ,overlayアッセイによりイノシトールリン脂質との結合が確認され,詳細な結合特異性の検討により,PtdIns(4,5)P_2に最も強く結合することが明らかになった. KIAA0171をGFP融合タンパクとしてCOS7細胞,およびHeLa細胞内に発現すると,epsin2と同様に小胞状の局在パターンを示し,この局在はクラスリンと同一であった.さらに,同発現細胞を経時的に観察すると両タンパクとも細胞内輸送経路に沿って運動する様子が見られた. また,これら2つのepsinタンパクはクラスリンだけでなく,輸送過程がより進行したエンドソーム様の局在を示した.実際に後期エンドソームタンパクであるSNX3とも共局在した.ENTHドメインを欠損すると後期エンドソームに特徴的な核近傍への集積が消失したのに対し,ENTHドメインのアミノ末端側にミリスチン酸化シグナルを付加すると逆に後期エンドソームヘの集積が促進した.このことから,ENTHドメインを介した脂質結合がエンドソームの輸送過程を正の方向へ促進するのに関与していると考えられた.
|