昨年度の本研究において明らかにした、新規epsinファミリーに属するKIAA0171のさらに詳細な機能解析を行った。 KIAA0171の細胞内局在は、クラスリンだけでなく、トランスゴルジ網(TGN)輸送に関与するアダプタータンパク、AP-1と一致した。また、その一部はエンドソームの融合によって生じるMVB(multi-vesicular body)構造の周縁部に沿って局在することが観察された。実際、in vitroでのpull-down assay及びoverlay assayにより、KIAA0171は一次構造中央部においてクラスリン重鎖、及びγ-adaptinと結合することが明らかとなった。さらに詳細な部分コンストラクトを作製し、検討したところ、これらの結合はそれぞれ、(1)KIAA0171の「SGDLVDLSGDLVDLGFVG」配列とクラスリン重鎖末端ドメイン、及び(2)KIAA0171の「GNGDFGDWSA」配列とγ-adaptinのearドメインとの相互作用によるものであることが明らかとなった。 次に、KIAA0171の細胞内局在とENTHドメインの関係を明らかにするべく、さまざまな変異型コンストラクトをGFP融合タンパクとしてCOS7細胞内に発現し、その細胞内局在を検討した。ENTHドメインを欠損するとKIAA0171のTGN周辺への局在が観察されないことは昨年度に明らかにしていたが、脂質結合に必須の67番ArgをAlaに置換した変異体も同様に、細胞質中に分散する異常な局在パターンを示した。驚くべきことに、ENTHドメインのみをGFP融合タンパクとして発現させると単独でTGNに局在できることが観察され、その局在は67番Arg変異型ENTHドメインでは観察されなかった。
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