研究概要 |
クローディン2遺伝子ノックアウトマウスの表現型解析 腎臓近位尿細管、肝臓、腸管に発現するクローディン2遺伝子を欠失させたマウスは正常に生まれ、組織形態、血液成分に異常は見られなかった。ノックアウトマウス同士の交配も可能であった。さらに、クローディン2を特に強く発現する近位尿細管に焦点を絞り、共同研究によってこのマウスの腎臓の機能異常の有無について生理学的な解析を進めた結果、近位尿細管上皮のタイトジャンクションを介した傍細胞経路輸送における陽イオン選択性がクローディン2欠失マウスでは減少するとことが明らかになった。つまり、クローディンがTJのイオン選択性に関わることを個体レベルで初めて実証することができた。現在、この異常が尿の生成に及ぼす影響、ヒト病態との関連について現在検討している。また、腸管におけるタイトジャンクションの役割を調べるために、クローディン3ノックアウトマウスとの交配を行い、クローディン2,3欠失マウスを作製中である。 クローディン3遺伝子ノックアウトマウスの表現型解析 肝臓、腸管上皮細胞、腎臓遠位尿細管などのタイトジャンクションの構成成分であるクローディン3の遺伝子を欠失させたマウスは正常に生まれ、ノックアウトマウスの雌雄同士の交配も可能であった。クローディン3を発現する肝臓、小腸、腎臓などの臓器において、組織構築に関する形態学的異常は見られず、血液成分についてもこれらマウスにおいて大きな異常は見られなかった。上記の組織では、クローディン3以外のクローディンタイプも発現していることから、それらによってタイトジャンクションの機能が十分に代償されていることが示唆された。
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