1. neurepin遺伝子欠損マウスの解析 作製したneurepin遺伝子欠損マウスは正常に発育し、妊娠、育仔も正常に行った。胎生期の中枢神経系の組織学的解析においては、明らかな異常を認めなかった。また、生育後の中枢神経系においては、側脳室の縮小を疑わせる所見があったが、マウスの系統を129とC57BL/6のF1よりC57BL/6に統一すると側脳室の縮小は認められなくなり、129の系統の影響によるものと判断した。 neurepinの細胞分裂への影響を検討するため、胎生14日を中心としてneurepin遺伝子欠損マウスの神経上皮へのBrdUの取り込み能について解析したが、明らかな異常を思わせる所見はなかった。また、in vitroにおいてneurepinと細胞分裂の関係を検討するため、neurepin遺伝子欠損マウスの神経上皮を用い、neurosphere assayを行った。しかしながら、bFGF及び、EGFを用いたneurosphereの形成には有意差を認めなかった。 2. in vitroでの解析 Neurepin分子の様々な断片をGreen fluorescent proteinと結合させた蛋白をCOS-7細胞に強制発現させ、その蛋白質の細胞内局在を観察した。現在までに、Ncurepin分子のN端側には小胞体に蛋白を局在させるドメインの存在が推定された。現在、さらに機能ドメインが存在しないか検討中である。 Neurepin遺伝子は、そのNorthern Hybridizationの結果より、何種類かの分子群が存在する可能性が考えられ、それぞれの分子の同定を試みた。インターネットを用いたサーチなどにより、少なくとも4種類の分子が存在することが判明した。現在、それらの分子群の発現パターン、発現量の違い、また、機能ドメインの有無などを解析中である。
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