本研究ではCa^<2+>依存的な神経伝達物質放出に関与するシナプトタグミン1及びそのアイソフォームの個体レベルでの時間、空間特異的な機能解析のため、抗体遺伝子を用いた新規な神経機能解析法の開発を目的とする。シナプトタグミンファミリーのC2AドメインはCa^<2+>依存的または非依存的にリン脂質やシンタキシンと結合する事が生化学的に明らかになっていることから、これらの分子間相互作用はシナプトタグミンのin vivoにおける機能に重要と考えられている。従って各C2Aドメインに対する抗体はこれらの分子間相互作用を阻害することでシナプトタグミンの機能を抑制出来ることが期待される。既に本研究ではシナプトタグミンのC2Aドメインに結合する抗体遺伝子が神経突起伸長を阻害できることを明らかにしてきた。しかしこの阻害活性が、シナプトタグミンのC2Aドメインに抗体が結合することによるかを明らかにするためには、C2Aドメインに結合できない変異型抗体遺伝子の単離が必要であった。そこで平成13年度はPCRを用いた突然変異導入法によりシナプトタグミンのC2Aドメインに結合できない変異抗体遺伝子を単離した。また、これら抗体遺伝子を神経細胞特異的であるp35プロモーターを用いて初代培養DRGニューロンに発現させることが可能になった。野生型抗体遺伝子の発現は変異型と比べ有為に神経突起伸長を阻害する事が分かり、これらの抗体遺伝子がシナプトタグミンの機能解析のための強力なツールとなる事が明かとなった。
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