研究概要 |
[1]非免疫抑制性イムノフィリンリガンドGPI1Q46の薬理作用 (1)免疫抑制作用を有するFK506の神経保護作用に抗酸化作用が寄与することから,その誘導体で非免疫抑制性イムノフィリンリガンドであるGPI1Q46の抗酸化作用について検討した結果,FK506と同様な抗酸化作用を有することが培養細胞ならびにin vivoにおいて確認された。また,GPI1Q46が示す抗酸化作用には主にグルタチオン合成酵素の活性化を介したグルタチオン増加作用が寄与していることを明らかにした。以上より,イムノフィリンリガンドの神経保護作用には,免疫抑制作用が必要ないこと,神経保護作用の発現に抗酸化作用が重要な役割を果たしていることを明らかにした。 (2)イムノフィリンリガンドの神経保護作用の分子機序を明らかにする目的で,抗酸化作用以外の薬理作用についても検討した。今年度は神経栄養因子様作用に着目し、特にBDNFとGDNFについて検討した結果,FK506,GPI1Q46共に中脳黒質のGDNF量を増加させることをin vivoにおいて示した。また,FK506に関しては,線条体におけるBDNF量についても増加作用を示すことを明らかにした。 (3)神経細胞死に対する保護作用の分子機序解析を目的として,(A)パーキンソン病病態モデルである6-OHDA脳室内投与マウスと(B)酸化ストレスによる細胞死モデルである過酸化水素暴露条件下の細胞株を用いて検討した結果,FK506,GPI1Q46両者とも予め投与することで,細胞,in vivoどちらに対しても有意な細胞保護作用を示すことを明らかにした。 [2]ニューロイムノフィリンの機能解析 (1)ニューロイムノフィリンの神経保護作用への関与を明らかにする目的でイムノフィリンの各アイソフォームの評価系をウエスタンブロティング法並びにRT-PCR法を用いて確立した。
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