研究概要 |
種々の培養神経細胞の分化誘導時におけるDnmt1蛋白質の挙動の解析とDnmt1転写産物の解析 ・培養神経細胞のNlE-115細胞用いて、分化誘導前後(血清存在下→非存在下)におけるDnmt1蛋白質の細胞内局在を抗体を用いた間接蛍光抗体法並びに免疫沈降法を用いた生化学的手法により解析した。その結果、分化誘導前後においてDnmt1の細胞内局在が「核のみ分布」から「核と細胞質にも分布」へと変化することが分かった。また、Dnmt1蛋白質の細胞内半減期を測定したところ、細胞増殖を血清の除去により止めた場合、繊維芽細胞や赤芽球系の細胞では半減期が速くなるのに比して、NlE-115細胞では分化誘導後(血清除去後)においても増殖条件下と同様な半減期を示すことが示唆された。以上の結果は、神経細胞ではDnmt1の半減期が長くなっており、そのために神経細胞ではDnmt1蛋白が強く発現し、しかも細胞質への局在が見られるということの原因の一つであると考えられた。これは以前に得ていた成体マウス脳での知見(Inano, K. et al. (2000) J. Biochem., 128, 315-321)を裏付けるものである。 ・一方、分化誘導前後(血清存在下→非存在下)の細胞よりRNAを調製し、5'-RACE法によりDnmt1遺伝子転写産物を解析したところ、アイソフォームの発現が分化誘導に伴って変化することが分かった。 Dnmt1遺伝子を過剰に安定発現する培養神経細胞株の樹立の準備 ・テトラサイクリンで発現調節が可能なレトロウイルスベクターにtagで標識したマウスDnmt1全長cDNA及び核移行シグナル部分又は細胞質局在化シグナル候補部分を欠失した変異体のベクターをそれぞれ構築した。現在形質転換細胞株の樹立の準備中である。
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