平成13年度では、コネキシン43遺伝子をアスロサイト特異的にノックアウトする系を構築した。 1.アストロサイト特異的Creマウスラインの作製と解析 アストロサイト特異的にCre recombinaseを発現するマウスを得るために、アストロサイト特異的な発現を示すS100b遺伝子のプロモーターを利用して、五系統のトランスジェニックマウス(s100b-Cre Tg)を作製した。次に、それらをCre recombinaseのレポーターマウスと交配し、組み換えがアストロサイトに特異的かどうかを検討したところ、脳の一部を除いては、アストロサイト特異的な組み換えが起きることが分かり、本実験の目的に使用できることが明らかになった。 2.コネキシン43遺伝子のfloxed alleleを持つマウスラインの作製 コネキシン43遺伝子のcoding regionを2つのloxP siteで挟み込んだ状態のallele (Cx43 floxed allele)を作製するために、ES細胞を用いたgene targetingを行い、目的のES細胞クローンを得、それらのクローンを用いてキメラを作製してgermline transmissionを得た。次に、得られたCx43 floxed alleleでCre recombinaseによる組み換えが起こることをgeneral deletor mouse (CAG-Cre)との交配で確認した。また、Cx43 floxed alleleが正常に機能していることを、Cx43 null alleleとCx43 floxed alleleを共に持つマウスがCx43 nullの表現型を示さないことから確認した。さらに、Cx43 floxed mouse lineと1.のs100b-Cre Tg linesの交配により、成体の脳でアストロサイ卜特異的にCx43遺伝子の欠失が起きることを明らかにした。
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