研究概要 |
本研究では流れ負荷培養内皮細胞のアクチンフィラメントが再構築される過程をリアルタイムで観察し,同時に有限要素法解析を行い細胞の力学応答のメカニズムを解明することを目的とする.平成13年度では以下の成果を得た. 予めGFP-アクチン融合ベクターを導入した培養ウシ内皮細胞に流れによるせん断応力を6時間にわたつて負荷し,共焦点レーザ顕微鏡によりアクチンフィラメント挙動の実時間観察を行った.流れ負荷実験中,30分毎にアクチンフィラメントの蛍光像を取得した.その結果,デンスペリフェラルバンドが核の方向に移動し,同時に細胞内でアクチンの束であるストレスファイバーが流れの方向に発達する様子が観察された.また,アクチンフィラメントのハブとなっている部位が細胞内で移動を行い,それに伴って構造変化が誘導されている場合が多く観察された.しかし,細胞の初期形状および骨格構造分布により,その後の骨格構造の変化過程は大きく異なった. また,流れ負荷実験の前後で原子間力顕微鏡によって細胞の表面形状を計測し,有限要素モデルを構築した.細胞の動的挙動を再現するため成長の構成則に代表される構造最適化のアルゴリズムを導入して計算を行った結果,実験結果と同様に流れ負荷後,細胞の高さは減少傾向を示した.さ。らに,細胞骨格を含めてモデル化した計算では流れ負荷に伴い流れ方向の骨格構造が発達する様子が得られた. 今後は他の骨格構造である微小管,中間径フィラメントについても観察,解析を行っていく予定である.
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