平成13年度の目的は電歪材料を用いたマトリクスアレイによる音場制御および試験管内における化学反応制御である。 目的を実行するために以下の4点を行なってきた。 (1)PMN-PT電歪材料を用いた超音波の発生 PMN-PT電歪材料をマトリクスアレイ化せず、一つの素子として駆動実験を行なった。従来の材料PZT材料と同様に駆動し、超音波が発生することを実験的に確認した。 (2)電歪材料のSPICEシミュレーション トランスデューサの電気的な等価回路をSPICEモデルに適用し、本手法の特徴である差周波数による駆動が可能であることがわかった。 (3)マトリクスアレイ駆動による音場形成シミュレーション 音場形成シミュレーションによって、マトリクスアレイ化した場合の奥行き分解能や角度分解能も明らかにした。 (4)ガラス管内の化学反応計測システムの作製 生体内部の化学反応計測に用いるESR-CTシステムが超音波を照射しながらの計測が可能かどうか明らかにするために、ガラス管内の化学反応の空間分布を超音波照射しながら測定できるシステムを作製し、実際に計測を行った。(従来の計測システムでは超音波を照射した後にサンプルを取り出し化学反応量を測定した。)新しく作製した超音波誘起の化学反応リアルタイム計測システムで得られた結果は従来法に比べて感度の点では及ばないが、化学反応時間的な推移は同様な傾向を示した。 現在(1)〜(3)を組み合わせたシステムを作製中であり、完成したシステムを用いてラット血液中の化学反応の時空間変化をリアルタイム観察する予定である。
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