まず、基板に固定した状態でハイブリダイズしたDNA二重鎖試料にミスマッチがある場合に蛍光ラベルを導入したMutSを結合させ、一分子レベルで結合状態および基板との相互作用を原子間力顕微鏡(AFM)によって調べ、30塩基対の精度で変異位置を明らかにできるようにした。この高精度化のための探針先端の電子顕微鏡による修飾法確立した。この高精度探針を用いたDNA-DNAハイブリダイゼーション(D-LOOP)の一分子観察により、長鎖DNA中の特定部位をより高精度に決定できることを明らかにした。ミスマッチDNAに特異的に結合する蛋白質に種々の変異を入れDNAとの相互作用を調べた。この際、蛋白質に蛍光ラベルを導入し、この蛍光を用いた変異DNAの検出法についても検討した。単独の蛍光ラベルを用いたものでは、検出効率は必ずしも高くなかったが、二種の蛍光を組み合わせることにより高効率検出の可能性を示唆する結果を得ており、さらにこの研究を進めているところである。 また、アビジンでコートしたビーズを用いて、目的とするDNAの片側の鎖端をビオチンでラベルしたDNAを用いて結合させた。DNAを種類によって異なった蛍光によってラベルし、その比を変えることにより、蛍光顕微鏡によって、DNA種を判別できることを明らかにした。さらに蛍光ラベル蛋白質を用いて、どのDNAに蛋白質が結合しているかも判別可能となり、この方法による変異DNA検出の可能性を見いだした。
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