「覚醒水準のリアルタイム推定」と「眼球関連情報の非接触測定」の2つの課題に対して下記の業績を得た。 <覚醒水準のリアルタイム推定について> ・サッカード指標の有効性を検証する心理物理実験を実施するため、新たに視標呈示系・計測系を構築した。視標呈示系では、眼球運動モニタのキャリブレーション用プログラムおよび視標呈示用プログラムを作成した。計測系においては、A/D変換器の制御用プログラムを作成した。 ・「単位時間あたりの視覚情報獲得量」というパラメータを新たに導入し、心理物理実験を通して視覚機能とサッカード特性との関係を調べ、これまでにない知見を得た。個人差の少ない覚醒水準の評価指標を提案するための重要な結果であることから、来年度に国際会議で発表したのち、論文を投稿する予定である。 ・DSK(DSP Starter Kit)の周波数特性を計測し、入力部のローパスフィルタのカットオフ周波数が高いため、眼球運動モニタの出力を直接DSKに入力できないことを確認した。また、これに対処するため入力部の前段に2段の微分回路を導入した。 ・眼球運動の加速度信号入力からサッカード指標を算出し、閾値処理で覚醒水準を2段階ステージングするアルゴリズムをDSKに実装し、リアルタイム処理を実現した。 ・模擬サッカード発生回路を製作し、サッカード特性の変化(覚醒水準の変化を反映する)に応じて、DSKのLED出力が変化することを確認した。 <眼球関連情報の非接触測定について> ・2台のカメラからステレオ画像を取得し、眼球の回転角度を自動算出する系をPCベースで構築した。 ・模擬眼を使用した評価実験を実施し、回転角度をある程度反映した量を計測できることを確認した。 ・30Hzの入力画像に対しては、ステレオ画像の取得と瞳孔重心の算出を実時間で行えることを確認した。 ・構築した系で、60Hzのフィールド毎に画像を取得できることを確認した。
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