「覚醒水準のリアルタイム推定」と「眼球関連情報の非接触測定」の2つの課題に対して下記の実績を得た。 <覚醒水準のリアルタイム推定について> ・サッカード指標の有効性を検証する心理物理実験を実施した。『単位時間あたりの視覚情報取得量』という独自パラメータを導入し、視覚機能とサッカード特性との関係を調べ、これまでにない知見を得た。これらの研究成果を国内学会で2回、海外の学会で1回発表した。現在は、論文投稿の準備中である。 ・備品購入したDSP (TMS320C6701)を用いて、眼球運動モニタの出力から覚醒水準指標をリアルタイムで算出する系を新たに構築した。過去使用していたDSPにおいては、入力部のフィルタ特性の関係から入力波形が歪んでしまい、覚醒水準指標が正確に算出できないという大きな問題を抱えていた。新しい系では、入力の前段でA/D変換し、ディジタル信号をDSPに転送することでこの問題に対処した。 ・DSPを用いて覚醒水準指標をリアルタイム推定する系に、サッカードと瞬きを弁別する機能を付加した。本研究では覚醒水準の推定指標としてサッカードの速度波形の形状に着目をしているが、眼球運動モニタの出力にはサッカードの他、瞬きが混在している。そこでサッカードと瞬きを自動弁別するアルゴリズムを新たに考案し、DSPに実装し覚醒水準指標の算出精度を向上させた。この成果は平成15年度に国内学会にて発表する。 <眼球関連情報の非接触測定について> ・2台のカメラを用いてステレオ画像計測を実施際に必要となる、キャリブレーション方法について検討した。本研究では計測範囲をより広く確保するために、カメラを並行に設置せずに2台が少し向き合う位置に設置している。これに対応するため、キャリブレーション時に撮影画像からカメラパラメータを推定し、キャリブレーション結果を補正する手法を考案した。
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