研究課題
欧米諸国における留学生招致戦略はきわめて綿密に練られたものである。イギリスではイギリス留学をブランド商品化するための施策が開発され、オーストラリアでは連邦政府の大学国際化戦略支援補助金(一括グラント)が功を奏して、大学が海外にキャンパスを建設したり、ITを活用した授業の配信を行ったり、留学生を招致するための海外大学との協定を積極的に締結したりしている。米国は世界留学生市場の50%近くを独占し、優れた学生をひきつけている。わが国でも総合的な戦略が必要である。国際的に水準の高い教育研究を提供できるアメリカ大学の強みをさらに多角的に分析する必要があるし、研究費の使途と留学生招致との関係を解明する必要がある。本年度は、優れた留学生をひきつけるための方策に関する意見について大学教員を対象に質問紙調査を行っている。知的に優れた留学生の特性を解明し、そうした留学生をどうすればわが国にひきつけることができるか、多様な戦略・戦術に関する大学教員側の意見をまとめて公表する(現在集計中)。来年度は外国人留学生を対象に同様の意見調査を行い、日本留学ニーズの解明、日本留学への評価を明らかにする。これらの意見調査と並行し、海外調査を実施する。他国の留学生招致戦略を調査すると共に、世界の国々の留学生政策における日本の政策の相対的位置をつかみ、効果的効率的な大学国際化のための戦略的方策を解明する。本年度はオセアニア、アメリカ、カナダを対象国として予定している。