研究課題
米国における法科大学院適性試験(LSAT(Law School Admssion Test))については、まず、その歴史、目的、内容とその改善方法等を紹介した文献を用い、これらに関する基本的な知識を得た。また、その現状について、実際に用いられている最新の実施要領や問題を入手し、その内容を分析した。さらに、日弁連法務研究財団とともに、実施母体であるLSAC(Law School Admission Council)の担当者を我が国に招聘(2月12日〜13日)し、出題内容、作題方法、実施方法、点数の管理方法等について聴取し、我が国への示唆を含め、意見交換を行った。この結果を踏まえ、我が国において適性試験を実施するために適当な出題水準、範囲、実施方法等について検討を行い、A 測定すべき受験者の能力 (読解・表現力、推論・分析力、基礎知識、論理的判断)、B 出題形式 (長文問題、短答式、図表を使用した問題、数学的問題、聞き取り、英文による出題、論述)、C問題の難易度(試したい能力のそれぞれに関して異なる難易度の問題を作成。)、D 問題のソースとなるジャンル (高度に専門的な話題は避けるが、法律的な話題の導入も検討)の観点から問題を整理した上で、(1)適性試験の問題例、(2)問題作成の指針、(3)試行テスト実施要領(実施主体、目的、実施時期、受験者・監督者、アンケートの実施)のたたき台を作成したところである。これらを通じ、適性試験の目的および内容についての現時点における検討の方向としては、受験者の長文読解・表現力、推論・分析力等を試すことを主な目的とし、出題ジャンル、問題形式、難易度等において多様な問題を組み合わせた内容のものとすることが考えられている。来年度においては、試験回数、受験者数、合格率、作題・点検委員の選任、回答形式、実施体制等についてさらに検討を加え、適性試験を試行的に実施し、その実証的データに基づき更なる改善点等を研究する予定である。