本研究では、実効的に非局所な相五作用をもつ自励振動場が、従来の研究では知られていなかった数々の特異な時空挙動を示す可能性を理論的に明らかにした。具体的な3変数反応拡散モデルの数値解析とともに、Hopf分岐点近傍における縮約方程式によるアプローチを試みた。 1.位相特異性を欠く回転らせん波の存在が明らかとなった。 非局所結合振動場は、自己無撞着的に生成される内部場によって個別振動子が駆動される系と見なすことができるが、内部場の強度はらせん波のコア近傍で最も弱く、したがってコア近傍の振動子群は内部場への同期に失敗し、ばらばらの個別運動を示す場合がある。これが位相特異性の原因であり、反応拡散モデルおよび非局所結合GLに対する計算機シミュレーションからその確証を得た。 2.ソフトモード乱流の存在が明らかとなった。 ソフトモード乱流とは、系の連続対称性の破れの下でTuring不安定が起こる場合に一般的に生じる乱流(時空カオス)である。本研究では、非局所GL方程式について、まずその一様振動解周りの線形安定性解析からソフトモード乱流発生の必要条件である固有値スペクトルのタイプが存在するパラメタ領域を確定し、ついで適切なパラメタ条件下での発展方程式のシミュレーションから期待された挙動を得た。
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