研究課題
基盤研究(C)
インターネットの情報流は、流量が少ないときには入れた量に比例した量が出力されるが、流量がある程度以上増加すると輻輳が起こり、効率が落ちることはよく知られている。本研究では、統計物理学の視点に基づいて、渋滞相・非渋滞相というふたつの状態を想定する独創的な観点から、まず、現実のインターネット情報流の変動の特性の時系列解析を行った。次に、それらの特性を説明する理論モデルを構築し、分布や相関の理論を展開した。渋滞と非渋滞の狭間の臨界点では、物質系の相転移現象と同様にベキ分布や長時間相関が生じることが示された。インターネットのプロトコルは非渋滞のときには流量を増やし、渋滞のときには流量を減らす傾向があるので、臨界状態が実現されやすいことになる。この研究によって、インターネットの情報流において広く観測されている1/fゆらぎの成因を解明することができた。これらの結果を踏まえ、情報流の効率を高めるためのプロトコルの改良の提案を行った。できるだけ渋滞が起こらない方がよいと考える従来の常識に反し、渋滞相と非渋滞相の境目である臨界状態が最も効率が高いことをいろいろな視点から立証し、臨界状態を維持することを目指す制御を実現することができた。渋滞と非渋滞の境目の臨界状態がシステム全体の効率を最も高くするという発見は、インターネットの情報流だけでなく、広く渋滞を起こすシステム全体に応用できる成果である。本研究費によって得られた基礎的な研究成果がさらに多くのシステムに応用されていくことを望んでいる。
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