麻酔下ネコの外側膝状体(LGN)から2本のテトロード電極により同時記録された振動的発火を生じる複数のユニット活動データにUnitary Event (UE) Analysisを適用した。有意なUEを示したケースの多くが発火率の変動とは異なる時間スケールのUEの頻度変化を示した。これは、皮質下のLGNにおいても、発火率とは異なる情報がスパイク相関のダイナミクスに含まれている可能性を示唆している。さらに、我々は、UE Analysisの手法を単一の試行のスパイク列に拡張した。その結果、UEの頻度および発現するタイミングに関して、異なる試行に渡って大きな変動性が存在することが示された。これは、Grayが皮質におけるLFPの解析で示した特性と共通する。相関発火の非定常性は、視覚系での同期振動発火現象の普遍的特性であると考える。 視覚皮質とLGNからの同時記録を開始した。Grayとの共同研究とは異なる麻酔下でも、LGNでの高周波数帯での振動的発火、皮質での低周波数帯での振動的発火および皮質表面上4mm離れた細胞間の同期を観測した。これらの現象が麻酔の種類などによらず普遍的に存在することの確認として、今後の研究につながる成果であると考える。LGNと皮質から受容野が重なった細胞活動の記録を行ったが、領野間での活動に有意なスパイク相関が得られたケースは非常に少なかった。皮質細胞がLGN細胞からの直接入力を受けていない可能性が考えられ、今後は、リバースコリレーション法による、高い空間分解能での受容野マッピングが必要であると考えられる。
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