研究概要 |
平成13年度の研究成果より被験化学物質を乳癌細胞株に添加し、培養上清中のWISP-2蛋白量を定量化することにより、被験化学物質のエストロゲン様作用の有無を評価できるものと期待された。平成14年度はバキュロウイルスを用いてWISP-2蛋白の昆虫細胞内での発現を試みた。本発現系においては発現したWISP-2蛋白が分解を受け、またほとんどの発現蛋白は不溶画分に移行した。そこで可溶化するための最適条件を検討するとともにプロテインGを用いワンステップで精製することを目的としてIgGのFcポーションをC端に結合したFusion蛋白を発現させた。さらにWISP-2とFcポーションの間にはエンテロキナーゼの認識サイトを挿入し、リコンビナント蛋白からWISP-2を切り出すことが可能なベクターを構築した。今後はリコンビナント蛋白の発現とWISP-2に対する抗体を作製しWISP-2蛋白を定量するためのELISA系の確立をめざす。 これまでエストロゲン応答遺伝子は,プロテインキナーゼ系により発現調節を受けることが報告されている。WISP-2の発現は、プロテインキナーゼA、プロテインキナーゼCの活性化により既知のエストロゲン応答遺伝子pS2とは異なる発現調節を受けることを明らかにした。
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