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2001 年度 実績報告書

ポリ塩化ビフェニールによるAhレセプター依存性P450の誘導とその影響予測

研究課題

研究課題/領域番号 13833011
研究機関大阪府立公衆衛生研究所

研究代表者

島田 力  大阪府立公衆衛生研究所, 薬事指導部, 研究員 (50158961)

研究分担者 鵜川 昌弘  大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 環境衛生課長 (40250287)
橋本 正史  大阪府立公衆衛生研究所, 公害衛生室, 室長 (10028699)
井上 清  大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (10250276)
キーワードポリ塩化ビフェニール / チトクロームP450 / Ahリセプター / 酵素誘導 / ダイオキシン / CYP1A1 / CYP1B1 / CYP1A2
研究概要

内分泌かく乱物質のなかでダイオキシン、PCBなどは、AhRを介して毒性発現を引き起こすことが知られている。癌原物質として知られるベンツピレンなどの多環芳香族炭化水素化合物もAhR依存性に種々の生体影響を引き起こすことが報告されている。AhRを介する化学物質の毒性発現機構をより明らかにすることを目的として、野生型とAhRノックアウトマウスにおけるPCBと多環芳香族炭化水素の生体影響作用を、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1の誘導性として比較検討した。今年度中に得られ結果は以下の通りである。
1.マウスにPCBあるいは多環芳香族炭化水素化合物を投与し三日目に動物の肝、肺組織中のCYP1A1、CYP1A2、CYP1B1の発現と肝ミクロゾームの薬物酸化活性への影響を調べた。
2.CYP1A1 mRNAは無処置マウスでは非常に低いが、野生型のマウスで多環芳香族炭化水素化合物やPCBにより強く誘導された。
3.3,4,3',4'-四塩化ビフェニルは肝と肺のCYP1A1を野生型マウスでは誘導したが、PCB混合物は肝のそれだけを誘導した。
4.CYP1A2は肝臓だけに発現していた。CYP1A2 mRNAは3-メチルコラントレンやカネクロール500により肝臓において野生型マウスで誘導された。CYP1B1は肝、肺に発現し野生型で多環芳香族炭化水素化合物や3,4,3',4'-四塩化ビフェニルで強く誘導された。
5.肝ミクロゾームの薬物や癌原物質酸化活性はそれぞれのP450の発現の指標としていいものであった。
このような結果はCYP1A1、CYP1A2、CYP1B1が肝臓や肺においてそれぞれ個別に発現調節され、また受容体依存性の多環芳香族炭化水素化合物による発ガンの臓器特異性に関連するものと考えられた。現在、組織中のPCB濃度をGC-MSを用いて調べ、残留パターンの変化から、AhR依存性P450の誘導によるPCB異性体の代謝を特定することを検討している。また、誘導されたP450による癌原物質の代謝的活性化についても研究を進めAhRを介するこれら化学物質による生体影響作用の発現機構の解明を今後進めていきたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Junko Watanabe: "Association of CYP1B1 genetic polymorphism with incidence to breast and lung cancer"Pharmacogenetics. 10. 25-33 (2000)

  • [文献書誌] Kiyoshi Inoue: "CYP2A6 genetic polymorphisms and liver microsomal coumarin and nicotine oxidation activities in Japanese and Caucasians"Arch. Toxicol. 73. 532-539 (2000)

  • [文献書誌] Kiyoshi Inoue: "Ethnic-related differences in frequency distribution of genetic polymorphisms in CYP1A1 and CYP1B1 genes in Japanese and Caucasian populations"Xenobiotica. 30. 285-295 (2000)

  • [文献書誌] Tsutomu Shimada: "Role of NADPH-P450 reductase in the O-deethlation of 7-ethoxycoumarin by recombinant human cytochrome P450 1B1 variants in Escherichia coli"Protein Expression., Purification. 20. 73-80 (2000)

  • [文献書誌] Tsutomu Shimada: "Characterization of (±)-bufuralol hydroxylation activities in liver microsomes of Japanese and Caucasian subjects genotyped for CYP2D6"Pharmacogenetics. 11. 143-156 (2000)

  • [文献書誌] Tsutomu Shimada: "Specificity of 17β-estradiol and benzo[a]pyrene oxidations by polymorphic human cytochrome P450 1B1 variants substituted at residues 48, 119 and 432"Xenobiotica. 31. 163-176 (2000)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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