研究概要 |
1.目的:本研究の目的は以下の3点に要約される。 (1)非行抑制要因として設定された要因、すなわち、愛他意識、道徳意識、価値観、恥意識が、非行許容性との関係で、その役割を果たしているか否かを確かめること。(2)親子関係の良否と、それぞれの非行抑制要因の強弱との関係を確かめることによって、非行許容性の形成に関する知見を得ること。(3)我が国の子どもたちに特有な非行抑制要因の実態、さらにその形成と関連する我が国に特有な親子関係の実態を、アメリカとトルコとの比較で明らかにすること。 2.調査対象:本調査の対象は総計で5,808名である。その内訳は、日本(中・高校生1,406名、父母1,984名)、アメリカ(中・高校生548名、父母473名)、トルコ(中・高校生506名、父母896名)である。 3.結果の概要:2年間にわたる本研究の結果を総括すると以下のようになる。 (1)調査対象国によって多少の違いはあるが、特に我が国においては、非行抑制要因の強弱と非行許容性の強弱の関係は有意であった。このことは、われわれが設定した非行抑制要因は、それぞれが非行の抑制力と有しているということを意味する。(2)親子関係の良否は、非行抑制要因の強弱と有意に関連していた。このことから、非行抑制要因の形成には親子関係のあり方が重要な意味を持っているということが明らかになった。(3)我が国の特徴は、アメリカとトルコと比べて、子どもたちの非行抑制要因が脆弱であること、さらに子と親の関係も、親と子の関係も非常に望ましくないということである。
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