研究概要 |
平成13年度には,以下の調査研究を施行して,中問結果を得た。 (1)親も子どもも共に精神科受診歴,臨床心理士によるカウンセリング歴,不登校その他の精神症状ならびに非行歴のない,通常の生活を送る健常対照群の母親と子ども(高校生および大学生)20組にアタッチメントスタイル面接(Attachment Style Interview ; ASI)を施行した。なお,施行に当たり,研究目的,面接内容,所要時間等を事前説明して研究協力の同意を得て面接を行った。 (2)小学校高学年から高校時代に不登校・ひきこもりまたは不登校・非行に陥った青年(平均年齢17歳)の母親25名(臨床群)を対象にASIを施行した。対象は東京都立中部総合精神保健福祉センター思春期デイケア親プログラム(思春期の養育サイコエデュケーションならびにグループ親ガイダンス)に参加した母親であり,当プログラムでは通常の臨床評価業務の一部にアタッチメントスタイルインタビューを組み込み,希望する母親に施行している。 (3)対象に対して,グループ親ガイダンス(毎週1回,1回90分)と思春期の養育サイコエデュケーション(16回,1回45分)を施行した。 (4)臨床群を改善群と非改善群に分けて,母親自身の子どもの問題についての認識,自分の夫婦関係についての認識,白分の感情についての認識を比較した。 (5)現在,対象ならびに対照ともにASIを施行中で,学会発表および研究論発表はまだ行っていないので,中間結果についての公表は差し控えるが,対象群と対照群の母親の有するアタッチメントスタイルの分布には明かな差が認められる。 (6)本年度の研究結果から不登校ひきこもり群と不登校・非行群の母親のアタッチメントには大きな差はみいだされていないが,非行群は非改善群に多い傾向が認められている。
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