研究概要 |
1.リポソームの担体への固定・複合化.ジスルフィド構造を介して結合した疎水性構造を有する架橋高分子ゲル担体上へのリポソームの固定・複合化において,固定されたリポソームの脱離挙動について検討を行った結果,ジスルフィド結合の切断量が閾値を超えることにより,初めて著しい脱離が起きることを明らかにした. 2.巨大リポソーム調製法の開発・改良.これまで代表的な巨大リポソーム調製法の一つとして知られてきた二相系溶媒蒸発法により得られたサンプルには,巨大リポソーム以外に極めて多量の他の形態の小さな脂質分子集合体が混在していると考えられることを明らかにした.また,これら小さな集合体が巨大リポソームよりも優先的に上述の担体に吸着されること,さらにこの現象を利用して小さな集合体を除去し,巨大リポソームの相対的存在比率を高めることが可能であることを見いだした. 電場を利用した巨大リポソーム調製法に関しては,高分子物質内包挙動について検討をおこない,この方法により形成した巨大リポソームには高分子物質の内部への流入を許すだけの膜欠陥もしくは「穴」が一時的に生じていると考えられることを示した. 3.異種材料への巨大リポソームの固定化.上述した小さな集合体の除去により,巨大リポソームの固定に対する妨害が除かれ,巨大リポソームの固定効率が向上することを示した. 4.巨大リポソーム組織化.ビオチン構造を含有した脂質を組み込むことにより巨大リポソーム表面を修飾し,これにビオチンと特異的かつ強固に結合するアビジンの添加により,巨大リポソームを集合させ,あたかも組織様の巨大リポソーム集合体が得られる事を示した.また,疎水性チオールの組み込みによる修飾によっても,巨大リポソーム間に接着が生じることを明らかにした.
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