研究概要 |
1.パルスタイミングを用いる脳型情報処理回路のためのアルゴリズムの開発 スパイキングニューロンモデル(積分・発火型)を,フィードバック型ネットワークに適用し,パルスタイミング処理による高速化を実現した。この処理の基本思想は「重要な信号が時間的に早く到着することを利用して,重要な結果を早く得る」ことにある。この場合の最大の問題は,先に発火した信号がフィードバックしてきたものと,遅く発火した信号の区別がつかないという点である。そこでこれを,ランプ型抑制を行うグローバルニューロンと,発火によりその影響をリセットする機構を導入することで解決した。まず,最初にニューロンが発火するとグローバル抑制ニューロンが一定時間発火し,すべてのニューロンに時間的に増加するランプ型抑制を加える。この結果,早い時期に入力パルスを受け取ったニューロンほど抑制が小さいので発火しやすくなる。すなわち,早い信号ほど発火への寄与度を高くできる。さらに,発火によりそのニューロンに及ぼしている抑制効果をリセットすることにより,フォードバック信号によって発火し続けることができるようにした。 2.パルス変調方式脳型情報処理回路の設計・試作・評価 パルス幅変調方式のニューラルネットワーク回路を設計・試作し,キャパシタ型のシナプス荷重回路などの正常動作を確認した。また,パルスタイミングモデルに基づく集積回路を設計し,回路シミュレータ(HSPICE)により,モデルの検証を行った。ホップフィールド型ネットワーク(20ニューロン)での連想記憶において,同期型のパルス幅変調方式と比較したところ,パルスタイミング方式が約20倍高速であることを確認した。 また,積分発火型ニューロンを構成する単電子回路を考案した。
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