研究概要 |
1.パルス変調方式脳型情報処理回路の設計 昨年度開発したスパイキングニューロンモデルによる脳型情報処理アルゴリズムをCMOSLSIで実現するために,CMOS要素回路を設計した。ニューロン発火部分は,スパイキングニューロンモデルの特徴である後シナプス電位(PSP)発生を制御性良く実現するために,インバータチェーンによる時間遅延回路を組み合わせ,PSPの立ち上がりおよび立ち下がりの各時間を個別に設定できる回路を考案・設計し,回路シミュレーションにより動作を検証し,回路レイアウトを行った。シナプス部については,荷重をキャパシタに蓄積した電荷により表現するために,高精度に電荷蓄積・更新ができるチャージポンプ回路を考案・設計し,実回路で動作検証を行った。 2.パルスタイミングによる非線形ダイナミクスを利用した画像処理LSIの開発 パルスタイミングによる非線形ダイナミクスを利用した画像処理の例として,画像領域分割・抽出を行う非線形振動子ネットワークLSIを設計・試作し,動作を確認した。本項目は,1999〜2000年度に実施した科研費・基盤研究Bの発展研究の一部である。この研究により,非線形ダイナミクス回路をパルス変調回路で,荷重記憶・制御部をデジタル方式で実現するアナログ・デジタル融合/混載アーキテクチャを開発した。 3.多重ナノドットによるスパイキングニューロン回路の設計 ポストCMOS世代での回路設計技術として,ナノテクノロジーによる自己組織化技術によりナノドットを形成する手法を利用して,効率的かつ超低消費電力でPSP発生を行えるスパイキングニューロン回路を考案し,単電子回路シミュレータにより,設計・検証した。
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