未利用セルロース系バイオマスからの生物燃料直接発酵菌の代謝工学的育種

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13836007
• 研究機関: 鳥取大学
• 研究代表者: 簗瀬 英司 鳥取大学, 工学部, 教授 (20158033)
• 研究分担者: 岡本 賢治 鳥取大学, 工学部, 助手 (80283969)
• キーワード: Biomass / Cellobiose / Cellulase / Cellulosic waste / Ethanol / Metabolic engineering / Glucosidase / Zymomonas

研究概要

セルロース系バイオマス資源を直接分解・発酵してエタノールを生産する発酵菌は自然界に存在しない。そのために、代謝工学(メタボリック・エンジニアリング)技術を用いてセルロースおよびヘミセルロースの酸処理糖化液に混在するセルロース部分分解物(セロオリゴ糖)、キシロース、マンノースを同時にエタノール発酵転換できる発酵菌を創製するとともに、育種発酵菌を触媒素子とした連続発酵装置を組み込んだ革新的な省エネルギー型高効率転換プロセスの構築が期待されている。そこで、1)セルロース部分分解物の発酵に関与するβ-グルコシダーゼ遺伝子を、牛の第1胃に生息しセルロース消化に働いている細菌(ルミノコッカス)の染色体DNAからクローン化した。2)β-グルコシダーゼ遺伝子をザイモモナス用発現ベクターに挿入して組換えプラスミドを構築して導入し、高いβ-グルコシダーゼ活性を細胞内で発現させることに成功した。3)ザイモモナスに導入したβ-グルコシダーゼを細胞表層で発現させるために、細胞膜透過遺伝子をβ-グルコシダーゼに連結してキメラβ-グルコシダーゼを構築して導入し、β-グルコシダーゼ活性の50%を細胞表層で発現させることに成功した。4)遺伝子組み換え技術を用いて育種したβ-グルコシダーゼ細胞表層提示ザイモモナスはセルロース部分分解物であるセロビオースを速やかに発酵して、理論収率のバイオエタノールを生産した。本研究で創製した組換えザイモモナスは、木質系バイオマスの酸処理糖化液からの高効率バイオエタノール製造を可能にするものであった。

研究成果

• [文献書誌] N.Takaya, N.Matsumoto, H.Yanase: "Characterization of Membrane Bioreactor for Dry Wine Production"J. Biosci. Bioeng.. 93・2. 240-244 (2002)
• [文献書誌] K.Okamoto, M.Izawa, H.Yanase: "Removal of acrylonitrile and styrene by a packed tower biofilter"Proceedings of the Air & Waste Management Association's 95th Conference & Exhibition, Baltimore, MD, USA. 42851 (2002)
• [文献書誌] K Okamoto, M.Chimori, F.Iwanaga, T.Hattori, H.Yanase: "Production of γ-lactones by the brown-rot basidiomycete Piptoporus soloniensis"J. Biosci. Bloeng.. 94・2. 182-185 (2002)
• [文献書誌] 簗瀬英司: "廃紙・廃材をエタノールに変換する"化学と生物. 40・10. 684-686 (2002)
• [文献書誌] K.Okamoto, H.Yanase: "Aryl alcohol oxidases from the white-rot basidiomycete Pieurotus ostreatus"Mycoscience. 43・5. 391-395 (2002)
• [文献書誌] H.Yanase, M.Maeda, E.Hagiwara, H.Yagi, K.Taniguchi, K.Okamoto: "Identification of functionally important amino acid residues in Zymomonas mobilis levansucrase"J. Biochem. 132. 565-572 (2002)