研究課題/領域番号 |
13836008
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
酒井 裕 岡山大学, 工学部, 教授 (60089117)
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研究分担者 |
山際 雅詩 岡山大学, 工学部, 助手 (00325078)
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キーワード | Bacillus thuringiensis / Cry11A / 特異的殺虫タンパク質 / Cry4A / 双翅目昆虫 / アカイエカ |
研究概要 |
Bacillus thuringiensisが産生する双翅目昆虫特異的殺虫蛋白質の一つであるCry11Aのプロトキシン(70kDa)のプロセシング過程をin vitroで調べた。プロトキシンを含むクリスタル(蛋白質凝集体)をアルカリ性条件下で可溶化し、トリプシンで消化したところ、36kDaと32kDa断片が生成した。アカイエカ幼虫より調製した中腸抽出液を用いて処理した場合にも類似の結果が得られた。また、Cry11Aがアカイエカ幼虫に摂食された場合、中腸内でほぼ同じサイズの断片の生成を確認した。各断片のN末端領域のアミノ酸配列を解析し、36kDa断片のN末端アミノ酸はSer10であり、32kDa断片のN末端アミノ酸はAsp361である事を明らかにし、両断片が70kDaプロトキシンの分子内切断により生成することを示した。さらにこれら二つの断片はゲルろ過及びイオン交換クロマトグラフィーにおいて同一画分に溶出されたことから36kDaと32kDa断片は会合し複合体を形成している可能性が考えられた。アカイエカ幼虫より調製した中腸刷子縁膜小胞(BBMV)との共沈実験により、Cry11Aの結合を調べたところ、可溶化Cry11Aとトリプシン消化したCry11A断片のいずれもがBBMVに結合することを明らかにした。さらにアカイエカ幼虫に対するバイオアッセイにおいてもこれらのCry11A断片が十分な殺虫活性を保持していたことから70kDaのプロトキシンから36kDaと32kDa断片の生成過程における分子内切断はCry11Aの生物活性に影響を及ぼさないことが示され、36kDaと32kDa断片がCry11Aの可能な活性型分子の一つの形態であることを強く示唆した。Cry11Aをプロープとするリガンドプロッティングによって、Cry11Aに特異的に結合する18〜30kDaの蛋白質がアカイエカ幼虫の中腸上皮細胞膜に存在することを示した。また、リガンドプロッティングにおける拮抗的結合実験によってCry11Aは、もう一つの双翅目特異的殺虫蛋白質であるCry4Aとは標的細胞上の結合部位を共有していない事が示唆された。 以上の通り本研究では、Cry11Aの特徴的な活性化過程と一つの活性型分子種を明らかにし、さらにCry11A受容体の有力な候補の一つである特異的結合蛋白質の存在を明らかにした。
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