研究課題/領域番号 |
13837001
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
中里見 博 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (10283384)
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研究分担者 |
杉田 聡 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00171158)
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キーワード | ポルノグラフィ / 女性の人権 / 性差別 / セクシュアリティ / 男女共同参画 / 女性に対する暴力 / 性表現の自由 / ジェンダー |
研究概要 |
今年度行なった研究によって、アメリカの州や市などの自治体で1983年以降制定が目指された「反ポルノグラフィ公民権条例」の意義が具体的に明らかになった。それは、1970年代からの性暴力に対抗する草の根のフェミニズム運動を継承しており、ポルノグラフィに対する「公民権アプローチ」を提唱してポルノグラフィの法規制に反対するという70年代の運動の限界を突破するものであった。また「反ポルノグラフィ公民権条例」は、ポルノグラフィによって生じた被害を救済する民事法であり、その特徴を正確に紹介することによって従来の日本の研究者の数々の誤解を明確にすることができた。 日本におけるポルノグラフィ被害の実態把握という課題については、「ポルノグラフィ被害に関するアンケート」を実施するべく準備を進めた。アンケートは2種類あり、1つはポルノグラフィに関連する被害の相談を職業上受ける可能性のある弁護士と婦人相談員を対象にするものであり、もう1つは不特定多数の女性個人を対象にするものであり、各8頁と7頁の冊子形式のものとなった。アンケート用紙や返信用封筒等印刷も完了し配布する直前に、女性個人を対象にしたアンケートに関する不備を性暴力被害のカウンセラーの方から指摘され、アンケートをひとまず中止した。主たる不備は、アンケートに答えたポルノ被害サバイバーから被害相談を受けた場合に研究グループにサポート体制が整っていないという点であった。また弁護士・婦人相談員アンケートについても現職の婦人相談員から内容の改善提案が出され、今年度中のアンケートの実施を見送ることにした。弁護士・婦人相談員向けは改善後直ちに実施し、女性個人向けは内容を抜本的に見直して実施を検討する。
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