研究概要 |
14年5月から7月にかけて、「ポルノグラフィ被害に関するアンケート」を、約2,300名の全国婦人相談員、女性弁護士、フェミニストカウンセラーを対象に行なった。そして311名からアンケート用紙を回収できた。被害の相談を受けたことがあるという回答は、167名であった。その結果、アンケートが想定したすべての種類について被害が生じている実態がわかった。その詳しい分析結果は、報告書というかたちで公刊を準備しているが、とりわけ、ポルノグラフィの被害が、ドメスティック・バイオレンスと深く結びついていることがわかった。 また、アメリカに続き、カナダにおけるポルノグラフィの法規制について情報収集に努めた。その結果、アメリカで発展した、ポルノグラフィ被害者の救済という被害アプローチがカナダの最高裁で継承され(Butler判決)、発展させられている(Little Sisters判決)ことが明らかになった。カナダでは、ポルノグラフィが「わいせつ」ではなく、女性に対する暴力として定義されていることに特徴がある。なお、研究代表者が、14年8月から1年間アメリカ・イギリスに在外研究に出たため、イギリスについての情報収集を引き続き行なうことにした。 なお、本研究結果をもとに、本研究代表者も執筆者の1人なり、『キャサリン・マッキノンと語るポルノグラフィと売買春』(不磨書房)を公刊した。
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