研究概要 |
1.女性移住者のエンパワーメントと主体形成の視点から、フィリピン女性移住者における起業活動と社会的ネットワーク、ニューカマー韓国人女性における「契」をめぐる信用と相互扶助のネットワーク、高齢化する在日コリアン女性の地域福祉の問題と次世代女性の地域活動、在日タイ人女性と自治体行政サービスの関係、日系ブラジル人女性における経済活動、ならびに子どもの教育問題をつうじた地域参加等に関する補充調査を福山市、浜松市、東京近郊等で行った。また前年度に引き続き、パキスタン人男性の日本人配偶者女性の社会的ネットワーク、家族企業における位置等に関する調査を行った。以上をまとめるための合宿を行い、成果報告書を作成した。3年間にわたる調査研究を通じて、従来の男性移住者を中心とした結社活動やエスニック・ビジネスとは異なる女性移住者による組織化や社会参加の多様性とその広がり、課題等について一定程度の解明を行うことができた。 2.2003年12月10日〜13日にインド・デリー大学途上国研究センター(Developing Countries Research Centre, University of Delhi)で開催された国際会議"Women and Migration in Asia"で研究代表者の伊藤、ならびに研究協力者の小ヶ谷千穂、徐阿貴、ブレンダ・テネグラが参加し、本研究の成果の一端を、以下の報告題目のもとに発表した。Ruri ITO, "Inter-Asian Migration and Gender Regimes : Questioning 'Feminization of Migration", Key note speech ; Chiho OGAYA, "What is 'social mobility' for Migrant Women? A Study on the Transnational Social Mobility of Female Overseas Filipino Workers" ; Akwi SEO, "Gendered Politics of Identity : The Case of Koreans Residents in Japan" ; Brenda TENEGRA, "Transnational Domestic Workers : Are They Transnational Migrants?"同会議には、南アジアを中心に100名近い研究者が参加し、各地における女性移住者のネットワーク、送り出し社会ならびにホスト社会における移民とジェンダー関係の再編に関する研究交流を行った。
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