研究概要 |
本年度は、昨年度に中間的まとめを執筆したので(『女性労働とマネジメント』)、ここで明らかにしえたことと、いまだ不十分である点が明確化したことをふまえて、最終年度にふさわしい研究課題を据えて取り組むことができた。そこで第一には、小売業各社に引き続きインタビュー調査に入った。そこでの焦点は、1990年代後半から今日にいたるまで、小売業各社が大幅な人事制度の改定に取り組むとともに、女性活用政策を展開していることから、その動向とそれが女性労働にもたらした影響を中心に聞き取りを行なった。それによって、小売業各社にかなり類似した動向を把握することができた。またそうした変化を担うキーパーソンを選んでインタビュー調査を実施し、人事政策と現場労働との関係を詳細にフォローアップした。 また第二には,日本の小売業の動向にみる特徴を明らかにするために,イギリスのそれとの対比から検討する課題に取り組むために、昨年に引き続きイギリス小売業の現状を把握することにつとめた。第三には、さらに最終年度にふさわしくジェンダー視点で研究全体を総括するための理論と方法について総括することをめざした。この第二と第三の課題の追求のために渡英し(3月),スターリング大学のアドリーナ・ブロードブリッジ氏,ロジアン商工会議所のエグゼクティブ・ダイレクターであるスチュアート・ダフィン氏,ニューキャッスル大学のリッツ・スタンリー氏、ブリストル大学のハリエット・ブラッドリー氏といった、小売業労働ないしは女性労働研究およびジェンダー研究方法に関する代表的な方々から情報とレビューを受けることができた。
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