6月には中国現代思想史研究会において体質人類学・身体測定・優生学にからむ中華民国期を中心にした中国民族学の成立の問題「中国近代人類・民族学の成立とその思想」について報告し、9月には中国、浙江省で開催された章炳麟・黄侃国際学術討論会において「章炳麟の身体に対する認識と仏教・医学思想との関係」という従来にはない章炳麟の身体と医学・仏教思想についての研究発表をおこなうとともに論文を提出し(同討論会論文集に収録される)、その成果を問い、母の死により中国での資料調査は未遂のまま中途帰国を余儀なくされたが、10月にニューヨーク・大学における21世紀の中国研究をめぐってのシンポジウムに招かれて中国近代思想における身体問題のジェンダー分析について報告し、アメリカをはじめ数カ国から参加した文化人類学者や纏足の研究で知られるドロシー・コー氏らと研究交流した。中国近現代における身体の問題が「国民の母」としての認知をうけながらの女性解放・生殖技術・人類学もしくは民族学の成立においても、ともに優生学思想と密接な関連で明瞭にあらわれていることがここでも確認できた。 12月には京都大学人文研究所で『婦女時報』を閲覧、2002年2月にはソウルで韓国・中国・日本の研究者の文化・学術連帯のシンポジウムでもアジアにおける身体性、ジェンダー問題を報告、韓国・中国の中国学研究者と交流し、当初は2004年平成15年度に予定していたワシントン大学のTani Barlow氏を双方のスケジュールの関係で繰り上げて訪ね、200-2001年のお茶の水大学と一橋大学でのセミナーでの議論を深め、レヴューを受けた。
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