研究概要 |
平成13年度は以下のような研究をおこなった。 1)戦後の歌謡曲の音域の変化を分析的に調査した。1950年代から70年代までは、男女が自由に歌うと自ずと1オクターブ乖離したかたちのユニゾンになっていたが、90年代以降は男女の声域の差が少なくなってきている。そのため、しばしば実音が同じ高さの文字通りのユニゾンで歌われるという現象が起こってきた。本研究では、戦後の歌謡曲の音域を個々の作品ごとに平均、標準偏差を算出して統計的に分析した。分析にあたっては、リズム(個々の音の長さ)を標準化して平均の平均を算出することが必要であるため、"Melody Analysis"というソフトウエアを作成して作業をおこなった。 2)「裏声とジェンダー」をテーマとして国際シンポジウムを名古屋にて開催した。(愛知芸術文化センター,2001年8月26日) このシンポジウムでは上記の分析データをもとに,社会とジェンダーとの関係について村尾が中心になって発表した。他に,共同研究者である新美成二が裏声の生理的メカニズムと近年の若者の声帯について発表をおこなった。他の二人の共同研究者は,海外における研究をとりあげ,裏声とジェンダーのシンポジウムの企画をおこなった。
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